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歯並び についてお話しします。

歯並びが悪いことを専門的には不正咬合といいます。

不正咬合は以下のように分類されています。

1-1

ディスクレパンシー マイナス 乱杭歯(らんぐいば):叢生(そうせい)

顎が小さく、歯が大きく萌出スペースが十分でないため、重なり合って生えている状態。

犬歯の「やえ歯」も叢生に分類されます。

<原因>

・顎の成長が不十分である

・歯の大きさが平均より大きい、または歯数に異常がある

1-2

ディスクレパンシー プラス すきっ歯:空隙歯列

<原因>

・歯が小さい 矮小歯 遺伝的要因

・先天性欠如歯

2 上顎前突(じょうがくぜんとつ)

下の前歯に比べて上の前歯が著しく出張っている状態

ANBがプラス 6/6 MR Ⅱ級

<原因>

・指しゃぶり

・口呼吸

・アデノイド 鼻疾患

・下顎の劣成長

3 下顎前突(受け口:うけくち 反対咬合)下顎前歯の方が 上顎に比較し、前方にある状態

ANBがマイナス 6/6MR Ⅲ級

横顔(プロファイル)は三日月様

<原因>

・上顎が劣成長(鼻疾患 口蓋裂)による下顎が相対的に前に見える A点を前に

・家系 遺伝的な要因 下顎が大きい B点を

開咬(かいこう): オープンバイト

<原因>

・指しゃぶり

・口呼吸 アデノイド

・舌突出癖

交叉咬合(こうさこうごう) クロスバイト

<原因>

・顎の左右の成長がアンバランスである

・頬杖をつく癖がある

・片顎のみで噛む癖がある

 うつ伏せ寝

歯並びが悪いと見た目の印象が良くないですよね。すてきな笑顔をつくるにはキレイに整った歯並びにしておきたいものです。歯並びが悪いと、歯と歯の隙間に食べかすや汚れが詰まりやすく、歯ブラシなどが届きにくいため、磨き残し(デンタルプラーク)により虫歯や歯周病のリスクが高まります。口が閉じにくい場合、口呼吸になります。唾液には口腔内細菌の増殖を抑える抗菌作用がありますが、口呼吸により乾燥して、虫歯や歯周病が進行しやすくなります。セルフケアがむすかしいので、口臭が出やすい歯並びが悪いと、歯ブラシが行き届かずに磨き残しが多くなります。歯に付着した食べかすなどの汚れには細菌(バイオフィルム)が繁殖するため、口臭が強くなるのです。鼻が悪いなどで口呼吸の場合、口腔内が乾燥します。殺菌作用のある唾液の自浄作用が十分発揮せず、細菌が繁殖して口臭の原因になってしまうのです。上下の噛み合わせが合っていないと、食べ物をかみ砕くことが困難です。食事にも時間がかかります。噛むことで唾液の分泌が促され、アミラーゼ等の消化酵素の働きにより形成された食塊は消化されやすい状態で胃へ送られます。しかし歯並びが悪いために良く咬めない状態だと、食事が消化されにくい状態のまま胃へ送られるため、胃の負担が大きくなります。噛み合わせの悪さが左右の噛む力の差や、片側だけで噛む癖をつける元になってしまい、片側の顔の筋肉だけが発達することで顔がゆがむ場合があります。顔がゆがむと、さらに左右の噛む力と噛み癖に影響を与えて顔がゆがむ、という悪循環が起こります。肩こり・頭痛・顎関節症が起こりやすい噛み合わせの悪さは、顔周りの筋肉の緊張を招きます。その影響が骨格にまでおよび、ずれが生じて肩こりや頭痛、顎関節症につながることもあります。  噛み合わせが悪いことにより、特定の音が発音しにくくなったり、舌が上下の歯の間に入れる癖になってますますオープンバイトになります。歯周病にも気をつけないといけません。年齢を重ねるとともに、歯肉が退縮、食べ物が詰まりやすくなったり、歯が動きやすく、歯並びは少しずつ変化がしていきます。次に、加齢ととも歯並びが悪くなる原因について見ていきましょう。  もともとの噛み合わせが悪いと、特定の歯に咬合力が集中して負担がかかってしまい、噛み合わせが安定しない、グラグラになります。歯周病とは、嫌気性の歯周病菌が出す内毒素ジンジパインがさまざな部位に炎症を起こします。歯を支えている歯槽骨での炎症は破骨細胞が活性化して骨が溶かされ、次第に歯がぐらぐらし、膿や口臭がするようになる慢性疾患です。最近では、歯周病と糖尿病や認知症との関係性についても明らかになってきています。むし歯や歯周病が原因で抜歯した箇所をそのまま放置すると、抜歯スペースに隣の歯が傾く、対合歯が挺出して歯並びに悪い影響を与えます。親知らずは、まっすぐ生えてこなかったり、横向きのまま歯ぐきに埋まっていたりすることもありますが、親知らずが生えるスペースがないと、奥歯が前へ押しやられてしまい、前歯の歯並びに影響を与える可能性があります。歯ぎしりや食いしばりなどをしている人は、歯が少しずつすり減り、歯並びに変化が起きやすくなります。また、頬杖などの癖も、歯並びに影響を与えると言われています。歯並びが悪くならないよう予防するために、生活習慣の見直しや、歯科医院での受診など、日常生活でできることから始めてみましょう。次に歯並び悪化の予防と歯並びが悪くなったときの対策について見ていきます。歯並びは日頃の何気ない生活習慣でも悪くなるため、生活習慣の改善が予防へとつながります。歯並びが悪くなる要因になりやすい頬杖や片側だけの咀しゃく、舌で歯を押す癖(舌突出癖)などがないか、正しい舌の位置(SPOT)かどうかを見直しましょう。歯並びの改善には、歯科矯正治療があります。まずは矯正の必要性や費用 通院期間 目標設定 治療方法(抜歯するかしないか) 時間帯 曜日 保定後戻りについてをしっかりと担当医とご相談ください。歯列矯正をする前に、虫歯や親知らずの抜歯、歯周治療を先行する必要があります。歯並びが悪くなる原因には、先天性のものもありますが、生活習慣や加齢とともに起きるものもあります。歯科医院で定期検診を受け、クリーニングしてもらうことで虫歯や歯周病を予防し、これ以上歯並びが悪くなるリスクを低下させることができます。