顎関節症は、急性期(口を開けていない状態でも顎や筋肉の強い痛みがある、ロキソニン等を服用してください)
慢性期(痛みが少し和らいだとき)に分けられます。
歯科口腔外科を受診し、適切な診断をしてもらいましょう。
注意事項
1, 硬い物やガムは避ける
顎に負担がかかる硬い食品や、噛み切るのに食いしばりが必要な食品、ガムは避けてください。口を大きく開けるのを避けるために、料理を作る際は食材を小さく切ったり、食事はやわらかいメニューにしてください。
2, あくびなど大きな口を開かない
急に口を開け閉めすると顎関節に負担がかかり、痛みがひどくなる可能性があるので注意が必要です。あくびをするときは、下顎に拳をあてて口が大きく開かないようにすると、顎の筋肉にかかる負担を減らせます。
3, 自己判断でマウスピースを使用しない
痛みがひどいときは、市販のマウスピースを服用したくなるかもしれません。しかし、原因が分からないのに自己判断で服用すると症状が悪化する可能性もあります。自己判断はせず、歯科口腔外科を受診して適切な指示をもらいましょう。
4, マッサージをする
強い痛みが引いた後も、口を開けたときに痛みや頬のつっぱり感がある場合は、頬の筋肉のマッサージをしてみてください。2、3本揃えた指先でゆっくりと揉んでマッサージすると、血行が良くなり痛みが和らぐこともあります。
5, 悪習慣を改める
顎関節症は、日常の悪習癖が原因です。TCH, 頬杖や片側での噛み癖、猫背、うつ伏せ寝、スマホ、パソコンなどの習慣が症状を長引かせることになります。これらの習慣を改めることで症状の改善が期待できます。
6, 顎関節を動かすトレーニングをする
あごの強い痛みが和らいだら、関節と筋肉を動かすトレーニングを1日数回すると良いでしょう。ただし、自己流ではなく、歯科口腔外科が指示に従ってください。
顎関節症以外で顎に痛みを感じる病気
風邪・おたふく風邪
コロナウイルスなどで風邪をひくと、耳の下にあるリンパ節が腫れて顎の痛みが生じることがあります。おたふく風邪は小児に多く、大唾液腺の1つ耳下腺がムンプスウイルスにより突然腫れて、口を開けたり咀嚼したりするときなどに顎に痛みを感じます。もしも、あごの痛みが風邪から来るものだと考えられる場合は、耳鼻咽喉科や内科を受診してください。
むし歯・歯周病
むし歯や歯周病が進行すると、炎症が周囲の組織にまで広がり、歯性感染症という疾患が引き起こされ、顎に痛みが出ることもあります。その結果、顎が腫れる以外に、発熱や痛みなどの症状も出るようです。
智歯周囲炎(親知らず)
親知らずは、ブラッシングが行き届きづらいことから、その歯冠周囲炎という腫れがよく起こります。炎症が顎の骨の方まで広がると、痛みを感じるだけでなく、炎症が隙を通過し、開口筋に影響し、口が開けにくくなります。
また、親知らずにより周りの歯が圧迫され、顎に痛みを生じてしまうことがあります。
TCH(tooth contact habit)
上下の歯は。1日で30分しか合わせてはいけません。上下の歯が不必要に触れ合っている状態をTCHと呼びます。TCHは日常のストレス(引越、転職、子育て等)でよくみられます。また、上下の歯を強く押し付けている食いしばりは、日中、無意識のうちにしてしまっている人も少なくありません。TCHのような弱い持続的な力は、実は顎と歯に相当な負担をかけることになり、顎の痛みが生じてからそのクセに気づくこともあるようです。TCHの発見や対策法については、お尋ねください。
あごが痛いときは早めに医療機関に受診してください
顎関節症は顎関節の痛み、カクという音だけでなく、開かないなど、長引くとつらい疾患です。あごが痛い場合他の病気が潜んでいる可能性も考える必要があります。あごに違和感を感じたら早めに医療機関を受診し、検査と適切な治療を受けることをおすすめします。